積読ダイエットチャレンジ(残1519冊)

日々積み上がる積読メタボを2030年までに解消するレコーディング読書ログ

2022年9月に買った本(7)・読んだ本(7)↑↓0冊

買った本(7)

Kindle】『Thalaba the Destroyer』Robert Southey

なぜポチッたのか記憶喪失した。田中芳樹絡みかな?

邦訳は「タラバ、悪を滅ぼす者」のタイトルで2017年に出てるけど、原書が出版されたのは軽く200年以上前。著者のロバート・サウジーはナポレオンを苦しめたネルソン提督の最初の評伝を、彼の死後10年後に書いた人でもある。

内容は吸血鬼?を退治する中東を舞台にしたヒロイックファンタジー物らしい。田中芳樹アルスラーン戦記に影響を与えたってことかな?

それにしてもそんな昔からヒロイックファンタジーってあったんだなぁ。

 

Kindle】『The Face of Battle: A Study of Agincourt, Waterloo, and the Somme』John Keegan

note.com

先月ナポレオン関連書籍をポチッた時に参考にしたNoteが面白かったので別記事で良さそうなものを買ってみた。ジョン・キーガンはどこかで読んでいるような読んでいないような。これは邦訳はあるけど高すぎる。

 

Kindle】『Forward into Battle: Fighting Tactics from Waterloo to the Near Future』Paddy Griffith

note.com

購入理由は上と同じ。小部隊戦術の変遷というテーマ自体めちゃめちゃ面白そう。こちらは邦訳は無かった。

 

【単行本】『堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方』堀江貴文

ホリエモンライブドア騒動の頃は全く興味が無かったんだけど、Youtubeを見だしてからハマってしまった。とにかくあらゆることについて勉強しているし、やりたいことをやって生きているのがすごい。宇宙関連、企業解説、医療関係のレクチャー動画はだいたい見た気がする。

著作は過去に何冊か読んでいると思うのだけど、どれも量産型のゴーストライター本であまり印象に残っていない。本書は数少ない真筆の著作(自ら書いた本)ということで購入してみた。

 

【文庫】『ナポレオン戦線従軍記』フランソワ ヴィゴ・ルション

ナポレオン研究の一環として購入。一般兵士の従軍記というだけで買わずにいられない。

 

Kobo】『ふたりのトトロ -宮崎駿と『となりのトトロ』の時代-』木原浩勝

先月読んだ「もう一つのバルス」がめちゃくちゃ面白かったので同著者のこちらも購入した。

 

【単行本】『定本 北の国から倉本聰

ピョコタンメンシプの仲間と北海道に行った時に「北の国から」の話が出た。富良野と言えばいまだに「北の国から」だったみたいな。で「北の国から」と言えば私の中で「おしん」と並ぶ「名作ドラマ」の棚に入っているんだけど、実は一回も見たことが無かった。「おしん」も全部は見ていないけどだいたい内容がわかるのに対して「北の国から」はタイトルと出演者の顔ぶれぐらいしか知らない体たらく。もちろん過去何度も見る機会はあったんだけど、なぜか幼少の頃から「北の国から」の田中邦衛に拒否感があり、その都度チャンネルを変えていた。この度「北の国から」について思いを馳せている折に「脚本を読むだけならあの田中邦衛を見なくてすむ!」というひらめきを得たので検索してみたところ、そのものズバリの本があり購入した次第。なお椿三十郎田中邦衛は全然普通に見れる。若大将シリーズは見たことが無いのでわからない。

 

読んだ本(7)

【DMM Books】『ナポレオン 台頭篇』佐藤賢一

【DMM Books】『ナポレオン 野望篇』佐藤賢一

【DMM Books】『ナポレオン 転落篇』佐藤賢一

★★★★☆

歴史小説のスタイルとして、語り手が前面に出て登場人物や出来事の解説する神の視点タイプと、完全な物語形式で語り手自身は登場人物の背後に埋没するキャラクター視点タイプがある。

個人的に読みたいのは前者の神の視点タイプの歴史小説なんだけど、このスタイルの歴史小説家は少なくて、なかなか見つからない。神の視点タイプの歴史小説家って今のところ司馬遼太郎塩野七生以外知らんけど他におる?

ただこのストロングスタイルはチャレンジするのに相当ハードル高いのはわかる…。

DMMブックスが70%オフセールをした時に歴史小説を沢山買ったのも、あわよくば神の視点タイプの歴史小説家を新しく発掘したかったという目論見もあったのである。で、佐藤賢一のナポレオンもその下心から購入したわけなのだが、残念ながら氏もキャラクター視点タイプの歴史小説家だった。

佐藤賢一は昔「傭兵ピエール」を読んでエンタメとして楽しめた記憶があるので、後者のタイプだろうとは思っていたけど「傭兵ピエール」は架空の人物を主人公にしていたので、実在した歴史的人物であるナポレオンを主人公にした小説は違うアプローチをするのでは?というほのかな期待もあった。

バリバリのキャラクター視点でした。

とは言えキャラクター視点だからダメとか、面白くないということは無く、プロローグと序盤をのぞけばおおむね期待した通りの一大歴史叙事詩が楽しめた。

フランス革命とナポレオンの絡み方もよくわかったし、なぜエジプト遠征をしたのかとか、なぜ皇帝にならざるを得なかったのかとか、なぜ親族を重用せざるを得なかったのかとか、ナポレオンについてうっすらと疑問に思っていたいくつかの細かい違和感もおかげさまで氷解した。

個人的に刺さったのは集団戦闘描写の巧みさだ。極めて限定的な情報しかない、しかも刻々と変わる戦場の変化をナポレオンがいかに掴み、的確に対応していたのかが克明に描写されていて大変良かった。佐藤賢一の集団戦闘描写は群を抜いて巧みだと思う。

リヴォリの戦いのナポレオンのカッコよさよ!

ナポレオンの軍事的才幹とは別して印象深いのはソモシエラの戦いだった。フランス騎兵も攻略に失敗した隘路の4重の砲兵陣地の突破を、百騎そこそこのポーランド騎兵に命じるナポレオン。死を覚悟したポーランド人が正面突撃を敢行、坂道に築かれた陣地を次々と突破するのを見て、無駄死にはさせじと奮い立ったフランス人の本隊もついに突入する流れがとにかく熱い。

キャラクター視点の歴史小説はハマると高い没入性と史実が両立するのでエンターテイメントとして非常に質が高くなるというメリットはあるのかもしれない。本書もナポレオンが戦場デビューして以降は一貫して面白く、戦場描写より政治的綱渡りの描写が中心になる後半になってもその面白さは変わらなかった。

個人的に問題を感じたのは序盤だ。

特にプロローグの戴冠式

これ要る?

のっけから名前だけは聞いたことがあるような無いような重要そうな登場人物が続出し、戴冠式のどうでもよさそうなディテール描写が延々と続くのが苦痛で、あやうく投げ出しそうになった。こちらが求めてもいない情報の洪水は、読者を物語に引き込むという配慮が一切感じられず、やばい著者を引いてしまった感がハンパ無かった。買っていなければプロローグでそっ閉じしていたことだろう。

我慢して読み進めると幼少期のナブリオーネ・ボナパルテ少年の物語がはじまるのだが、これも兄貴を顎で使うようなクソガキで、キャラクターとして全く好きになれなかった。キャラクター視点の小説でここまで感情移入しにくい性格とエピソードを選ぶ理由ってなんだろう?

史実?

ナポレオンの幼少期についてどれだけ資料に残っているのかわからないが、キャラクター視点歴史小説の大きな弊害の一つは、どこからどこまでが史実でどこからどこまでが創作かわからないところだ。最悪のプロローグのおかげで著者に対する信頼がゼロになっていたこともあり、どんなエピソードもまるまる著者の創作ではないかと疑いながら読んでしまい、いまいち物語への入り込めなかった。その入り込めなさはナポレオンが士官学校に入学するくらいまで続いてしまったので、歴史小説家が読者から語り手としての信頼を得るまでの困難さに思いを馳せてしまったくらいだ。司馬遼太郎がいかに巧みにその問題を乗り越えているのか考えるとすごい。塩野七生についてはあんまり読んでないのでわからんけど。

で、わたしが本書で著者に対する信頼を取り戻した個人的ターニングポイントはやはり戦闘描写である。具体的にはトゥーロン攻囲戦。ナポレオンが士官学校に入学してからは、だんだんなかなかいいじゃんと思い始めてはいたけれども。ここの無能司令官カルトーとの確執とかニヤニヤしてしまった。有能な人間が立場ゆえに無能に苦しめられるというシチュエーションが個人的に好きかもしれない。

ナポレオンが戦場デビューしてからは何の留保もなく面白いので、そこまでは我慢して読むのがオススメである。

それにしても、せっかく感情移入を活かせるキャラクター視点スタイルの小説なのだから、せめてキャラクターをどこか好きになれるように描いて欲しかったところだ。

思うにナポレオンのような資料が沢山残っている歴史的人物の小説をキャラクター視点でやるのは非常に筋が悪いのかもしれない。

たぶん史実もいけ好かないクソガキだったんだろう。

そういった癖の強い人物は一歩引いた神の視点で愛でるのが一番と思う。ぜひ次作の歴史小説はさんざん蘊蓄を垂れながら神の視点の小説を書いて欲しい。

 

Kobo】『ふたりのトトロ -宮崎駿と『となりのトトロ』の時代-』木原浩勝

★★★★☆

宮崎駿の「天空の城ラピュタ」制作の現場を克明に描いた同時代証言の名作「もうひとつの「バルス」」の続編だ。

本作は前作のラスト、ラピュタ公開直後からはじまり、トトロ公開までの日々が著者の視点から描かれている。ここまでは全く前作と同様のスタイル。少し違うのは著者のポジションである。

著者は前作の制作進行からデスクに昇格しており、宮崎駿の「楽しい作品を楽しく作る」という意を受けて、第2スタジオの手配からアニメーターの机配置、動画チェックの新システムの企画・実施、アニメーターの資質に合わせたパートの割り振りまで、トトロの制作に腕を振るう様子が、正に八面六臂の活躍で描かれている。

著者の有能さは前作からすでに伺えたのだが、より責任のある立場になり、制作の根幹にかかわる事柄に影響を及ぼせるようになったせいか、その有能さがより際立って見えるようになった気がする。著者公案の動画チェックの新システムは、その後もジブリ方式として定着したということなので、自画自賛の盛り分を割り引いてもデスクとして相当有能だったのは確かなようだ。

ではその分、宮崎駿の仕事ぶり、他のスタッフの仕事ぶりについての描写の比重が減っているかというと、そうでもない感じなので、多少自己アピールの側面があるとしてもバランス感覚は保たれている。どこまでも出来る男だ。

青春物語的視点から見ると、宮崎駿に憧れて上京し、紆余曲折を経てスタジオジブリに居場所を得た青年が無我夢中で働き、ついには宮崎駿に認められるまでに成長し、作品の完成に大きな貢献をするまでになった、という感じだろうか。

そんな夢小説自分が書きたいくらいだ。

著者は宮崎駿ファンとして夢を叶えたファンなのだ。KPOPで言う「成功したファン」というやつだ。本当に羨ましくて仕方がない。この本での著者の有能ぶりは、同じ宮崎駿ファンとして嫉妬を禁じ得ないほどである。前作より評価の☆が一つ少ないのはそのせいだ。

著者はこの次の「魔女の宅急便」(1989年)をもってジブリを退社しているので、それ以降の作品についての証言は読めない。まことに残念である。しかし、少なくともあと一冊は、「魔女の宅急便」についての本は書ける計算ではある。スケジュール的にはそんな本が2019年に出版されていておかしくない。いまだ日の目を見ていないのはコロナのせいだろうか?「退社」というデリケートな問題にかかわるからだろうか?

1989年といえば鈴木敏夫徳間書店からジブリに移籍した年である。頭角を現していた著者となんらかのトラブルがあったのかもしれない、と、これまでのシリーズで鈴木敏夫について一言の言及も無い事実から邪推してしまうのは下衆の勘ぐりすぎるだろうか。これも宮崎駿ファンから成功した宮崎駿ファンへの見苦しい嫉妬かもしれない。

本書の最終章で著者は、おそらく著者が宮崎駿から一番聞きたかった言葉をもらっている。ここまでで「宮崎駿と一緒に仕事をする」という当初の夢は果たされたのかもしれない。青春物語としてはここまでで終わっても良い所ではあるのである。

しかし、2022年も暮れになっても「魔女の宅急便」本について何の音沙汰も無いということは、著者の「魔女の宅急便」本はもう出ない、ということなのだろうか?希望的観測をすると、2023年にも公開されるという噂の新作のタイミングを待っているのかもしれない。

どうか後者であって欲しい。

なんとか歴史の証言者として「30年目の「魔女の宅急便」」みたいなタイトルで三部作の完結をして欲しいなぁ。

ところでわたしには著者の宮崎駿本について、前作を通して一点だけ気になっている部分がある。それは作中で描かれる宮崎駿の言動が、なんか私のイメージの中の宮崎駿らしくない、ということだ。作中の宮崎駿はなんか丁寧語すぎる感じがする。私のイメージでは宮崎駿はもっとぶっきらぼうなのだ。ただこれも宮崎駿ファンの見苦しい嫉妬の一つかもしれない。

 

 

【DMM Books】『童話作家になる方法』斉藤洋

★★★★☆

斉藤洋は「ルドルフとイッパイアッテナ」しか読んでいないんだけど、昔極東ブログ西遊記の書評を読んでからずっと興味を持っていた。

finalvent.cocolog-nifty.com

絶賛である。当時これを読んですぐ「西遊記」の電子書籍版を探したけど出ておらず、今調べても電子書籍版は出ていない。したがってまだ読んでいない。シリーズ物の児童書を現物で買うのは、いくら古典の翻案とは言え中年子無し男性にはハードルが高すぎる。

なので斉藤洋の作家的力量は唯一読んだ処女作の「ルドルフとイッパイアッテナ」でしかわからない。つまり、そこまでうまいとも面白いとも思わん。

個人的に「ルドルフとイッパイアッテナ」は昔NHKで堀口忠彦の絵と毒蝮三太夫の語りで放送されたテレビ絵本の印象が強く、その印象と期待で読んだ原作は、えっこんなもん?だった、まあ処女作だし、児童書を大人が読むというミスマッチもあっただろう。とは言え、良い児童書は大人も楽しめるものだ。極東ブログで「西遊記」が絶賛されているということは、その後長足の進歩を遂げたのかな?というとこからの本書購入というムーブをしたわけである。これはひとえに極東ブログの上記書評と、DMM Booksが70%オフセールをしていたという理由以外にない。

そういった微妙なスタンスで読んだ本書だったのだが、これが予想以上に面白かった。なんというか、ぶっちゃけトークが多い。

作家デビューの裏事情からアイデア発想法、取材について、編集者との関係など相当フランクに語られている。読んでいてちょっと森博嗣の「作家の収支」を思い出した。斉藤洋も作家デビュー時は大学で教鞭をとっていたようなので、この二人は資質的にかなり通じるものがあるのかもしれない。

 

【DMM Books】『それいけズッコケ三人組那須正幹 前川かずお

★★★☆

ズッコケ三人組シリーズと言えば小学生の頃に非常に人気で、わたしも学校の図書室で何冊も借りて読んだ。人気過ぎていつも貸し出し中で読めていない作品が沢山あったと思う。子供の頃に思う存分ズッコケ三人組シリーズを読みたかった、という未練みたいなものがあるのかもしれない。記憶に残っているのは無人島でサバイバルしてユリの根か何かを食べる話。

関係ないが、地元の町に著者の那須正幹が住んでいたという噂もあり、またその親戚を自称する同級生なんかもおり、なんとなく親近感をもっていた。Wikipediaを見ると事実らしかったので、ひょっとしたら入り浸っていた近所の本屋さんでニアミスしてたかもしれない。

2000年代に入ってから続編のズッコケ中年三人組シリーズがはじまったと聞いていたのだが、手に取る機会もなく、しかしいずれ読んでみたいなぁとは思っていた。

そんな折にDMM Booksが驚異の70%オフセールをしてくれたため、ノスタルジーズッコケ三人組シリーズを何冊も買った次第である。本書は記念すべき第1巻。ちなみにズッコケ中年三人組シリーズはまだ一冊も買っていない。

今調べると11冊も出ているなぁ。セールで買ったズッコケ三人組シリーズを読み終わったら買おうかなぁ。

一作目は連作短編だった。第一話はハカセがトイレの窓からトイレットペーパーを垂らして強盗の侵入を伝える話。おじさんがとりたててどうこう言う内容ではない。ただ子供の頃に読んだ記憶が無いので、ズッコケ三人組のオリジンを知れて良かったという気はする。

 

【DMM Books】『ズッコケ財宝調査隊』那須正幹 前川かずお

★★★★

ズッコケ三人組シリーズ9作目。1作目とはガラリと趣が変わって、ミステリー仕立ての宝探し冒険譚になっている。いきなり北京原人の標本についての解説から入ったので面食らったが、どうやら北京原人の標本は戦争のどさくさで行方不明になり、現代に至っても未発見という事実があるらしい。検索すると2022年現在でも未発見のようだ。こういう謎を小説の冒頭にぶっこんでくる姿勢は大好きだ。子供の頃に読んでいたらドハマりしていたかもしれない。本作も子供の頃に読んだ記憶が無いので新鮮な気持ちで楽しめた。舞台設定が戦後30年そこそこなので、作中では戦争経験者もまだ現役の社会人である。そこがなんだか新鮮だった。昭和は遠くなりにけり。